仮面ライダービルド 最終回を観て
ついに先日仮面ライダービルドの最終話が放送されました。
天才物理学者の桐生戦兎を主人公とし、戦争という重いテーマを描いてきた本作。個人的にはかなり感慨深かった最終回だったので感想を述べていきます。
ビルドという作品
個人的仮面ライダービルドという作品はかなり好みな部類でした。前作エグゼイドが完全に変化球できたところに正統派仮面ライダーなデザインや、昭和ライダーを連想させるような平成ライダーシリーズにおいてはあまり描かれることのなかったような改造手術のような描写や、ファウストというわかりやすい敵組織。
と最初の数話ではこの路線で盛り上げていくのかと思いきや、仮面ライダーにおいて度々登場する主人公の面倒をみてくれているいわゆるおやっさんポジションのキャラと思われていた石動惣一が敵の幹部であったり、ファウストという組織もあくまで計画のために使い捨てられたりと、これまでのセオリーのようなものを壊してくる展開。そして物語は宇宙規模へと発展して行きました。
この展開は今まで仮面ライダーシリーズが積み上げてきた土壌があったからこそ、意外性を孕み、魅力的な展開になったように感じます。ビルドという作品が仮面ライダーでなければ、マスターの裏切りも、ビルドが軍事兵器だったという展開もここまでは映えなかったと思います。平成19作品目にして仮面ライダーはまだまだ新しいステージに進んでいると感じました。
ここ数話の展開に関して
と、ここまでビルドをべた褒めしてきましたが、正直最終回前の数話には若干の違和感を感じながら視聴していました。
いくら戦兎が葛城巧の記憶を取り戻したとはいえ、そんなに葛城忍に対して父親という感情を抱くのか。エボルトがブラックホールフォームになる前に攻撃をしかけて変身解除させたのに、そのあとは普通に見逃すのか。戦ってはスチームガンで逃げての繰り返しじゃね？
など、特に最後の同じような戦いの繰り返しという点はゴースト、エグゼイドでも似たようなことを感じていました。
まあ結果として最終話を視聴したあとはそんなことどうでもよくなってしまったので、今更とやかく言うのは野暮な気がしますが個人的な考察を述べておきます。
ビルドという作品は、平成二期の初期で主に用いられてような、二話完結でゲストがくるような描き方をしておらず、壮大なサーガのような描き方でした。そしてその物語の多くの謎は、エボルトなしでは語れない部分が多く、ラスボスであるエボルトは早期に登場することになり、結果として同じような戦いを繰り返すことになったのかな、と思います。
そして最終回
戦兎と万丈が出会うところから始まった物語は、壮大なスケールに発展し、その風呂敷を広げていきました。そしてその結末は新世界に、創造主として戦兎と万丈のみが残るというある意味原点に回帰した結果でした。
終わりよければすべてよしという言葉がありますが、この最終回は歴代の中でも屈指の出来だったと思います。
エボルトの能力はビルドたちをはるかにしのいでおり、視聴者を納得させるような勝利というのはなかなか難しかったと思います。
結果としてビルドが選択したのは、星を破壊するような相手を倒すには、そもそもその相手がいない世界を創ってしまうというかなりスケールの大きな方法でした。ビルドはついに世界まで創造（ビルド）したことになります。
そして新世界ではエボルトのいた世界とは違う10年を過ごしたキャラクターたちがいて、その中に戦兎だけがいませんでした。
この雰囲気には仮面ライダーで言えば龍騎、他ではジョジョ第6部やSPECと似たようなものを感じました。
壮大なスケールの戦いを終え、一見平和だけどどこか物悲しいような、そんな雰囲気。
カフェnascitaでのシーンはビルドの初期のような笑いもありつつ、みーたんすら完全に戦兎のことを覚えていないことがわかる悲しいシーンでしたね。
そのあと、万丈が登場し、Be the Oneが流れるシーン。そして戦兎の「最高だ！」から1話と同じバイク乗りながら万丈のチャックが空いていることを指摘するシーンが続き、ラストは二人の記憶を49のエピソードに分けて記録するため、レコーダーに音声を吹き込むのですがそれが今までのアバンタイトルでのナレーションになっていた、というオチでビルドは幕を閉じました。
この最後の流れがある意味最初の頃の雰囲気があり、安心感があるいい終わり方だったと思います。
エグゼイドの夏映画から伏線を張り、平成ジェネレーションズでもがっつり本編と連携させながら隙のない作りで１年間駆け抜けた仮面ライダービルド。終わってしまったのは本当に寂しいですが、来週から始まる仮面ライダージオウもそれに勝るとも劣らない熱量を感じますし、ビルドの二人も1話には出演するらしいのでビルドロスはまだ大丈夫そうです。
ビルド１年間ありがとう！
